「ドレスデン、運命の日」鑑賞 (ネタバレあり)

ドレスデン -運命の日- [DVD]

ドレスデン -運命の日- [DVD]

  • 発売日: 2007/11/02
  • メディア: DVD
ドレスデン 運命の日 [レンタル落ち]

ドレスデン 運命の日 [レンタル落ち]

  • 発売日: 2009/01/01
  • メディア: DVD
ドレスデン、運命の日 (スクリーンノベルス)

ドレスデン、運命の日 (スクリーンノベルス)

ドレスデン爆撃、第二次世界大戦終盤の1945年2月13日から15日の3日間にかけて連合国軍で行われたドイツ東部の都市ドレスデンでの無差別爆撃。

街の85%が破壊され、2万5000人とも15万人とも言われる一般市民が死亡した。

連合国軍のドイツ本土空爆、最大で、ドレスデン
「ドイツのヒロシマ
と言われている、そうな。

この2万5000人とも15万人とも、という開きは戦後、ドレスデン東ドイツに組み込まれ、冷戦の東側陣営の西側陣営批判の誇張だとする説があるから、とか。
日本で言う南京事件の中国側は30万人みたいな、数の誇張か。

ドレスデンザクセン選帝侯国の古都で、ドイツバロック様式建築の文化遺産が沢山あった。
エルベ川フィレンツェという異名があった。
爆撃によって、それら大半が破壊された。
このドレスデン爆撃の成果で、続いて行われたのが1945年3月10日の東京大空襲だそうだ。


連合国軍、京都は遠慮してくれてありがとうございます。


この「ドレスデン、運命の日」という映画、2006年のドイツのテレビドラマで日本では映画公開された。
しかしウィキペディアがあるメジャーな俳優、皆無。
話の内容は第二次世界大戦末期、空爆前のドレスデンの医師、看護師、敵イギリス兵の三角関係。

日本語版ウィキペディア無しの超イケメン、ベンヤミン・サドラーがヒロインの婚約者の医師役。リチャード・ギアに似ているな。

ヒロインはフェリシタス・ ヴォールという女優で日本語版ウィキペディア無し。
設定が院長の娘で看護師。ベンヤミン演じる医師の婚約者で、医師は院長の娘との結婚は逆玉でもありこのヒロインを非常に愛していて最後まで守り抜こうとする。

そしてドレスデンの街に墜落した敵イギリス兵パイロット、ジョン・ライトという俳優も日本語版ウィキペディア無し。ブラッド・ピットになんとなく似ている。
ヒロインの女優もなんとなくアンジェリーナ・ジョリー似のような(笑)
ハリウッドならリチャード・ギアアンジェリーナ・ジョリーブラッド・ピット(年代違うけど)が演じたら歴史に残る大作だったろう、隠れた傑作だった。

Amazonで100円未満でDVDが販売されていたが(泣)、ドレスデン空襲の悲惨さを知る勉強の為だけでも観る価値がある。

しかし、ヒロインがなんだかな、な人物で…(笑)
イメージ的にドイツ版アンジェリーナ・ジョリーなだけに(個人的に)、イケイケの支離滅裂で感情移入が出来ない。

最近観た「戦争と平和」同様、戦争中のベタなメロドラマで「戦争と平和」のナターシャの尻軽と同じく、このヒロインも医師の婚約者がいながら、墜落した敵イギリス兵パイロットと突然、恋に落ちる。

感情移入出来上がる前に、短絡的に、他の患者も寝静まっている病室でいきなりラブシーンが始まるが(笑)。

え?

しかも一時の気の迷いじゃなく、何故かこのヒロインがこの墜落イギリス兵パイロットにマジ惚れし、医師の婚約者よりこっちを選び、なんと婚約パーティー最中に唐突に駆け落ちしようとする。
これは、ブラッド・ピットアンジェリーナ・ジョリーのラブラブを表現?(笑)

いや、戦後ドイツとイギリスの友好を記念して制作されたドイツのテレビドラマだそうです。


Amazonレヴューや他の映画サイトのレヴューを沢山、読んだが、私と同じように

「ヒロインに感情移入出来ない」

「このヒロインには空襲で死んでほしいと思った」

いや、私も思いました(笑)
後半30分はドレスデン爆撃の壮絶な場面で、悲惨さを描いていて涙。
しかし、ヒロインの状況にはまったく感情移入出来ない。

出だしからハンサムな医師の婚約者と外科手術中に戦時中で麻酔が無く激痛に苦しむ患者を挟み「オペ成功~」と、婚約者にキスするふざけた女で、どうやら院長の娘で、妹と共々、小生意気なお嬢っぷりから入る。
これは、後半、ヒロインが爆撃で痛い目に合うな、という予感(笑)。

ある日、あるイギリス空軍のパイロットがドイツ領ドレスデンに墜落。謎の墜落兵としてうろうろ、なんとか、ある病院に侵入成功。
たまたま居合わせた死にかけの兵士が死んでベッドの席をゲット。一怪我人として居座り、ヒロインの看護師と出会う。
そして、何度か鉢合わせている内に唐突に本気の恋に落ちる。

そんな甘いヒロインの様子の中、イギリス空軍の司令室の場面で不安感を挟む。作戦結果、次なる最大の空襲場所をドレスデンと決定、となる。


あぁ、このふざけたヒロイン、大変な事になるのね(笑)と
そして大空襲が開始、こっから30分間、凄まじいドレスデン爆撃の場面。


ネタバレですが、ヒロイン、死にません(笑)


家族、婚約者と無事に逃げおおせたものを引っ掻き回します。


空爆始まったら置いてきぼりにした本命のイギリス兵を見捨てる事が出来ず、ヒロインが一人、自宅に引き返す。
婚約者の医師も本気で彼女を愛していたのか、それを車で追いかる。
途中、空爆が激しくなり、ヒロインは立ち往生、医師は彼女と合流出来る。
二人で避難場所を探していたら、都合良く(笑)本命のイギリス兵と鉢合う←見事なご都合主義(笑)。

更に空襲が激しくなり、三角関係の三人で避難場所を探してある館に入る。すると入り口が爆撃で塞がれてしまい三人で地下に降りる。
なんと地下室は人々が皆、一酸化炭素中毒で死んでいた。
更に医師、イギリス兵、二人で壁を割って隣室に、すると今度は老人の集団が空襲の激しい爆撃音で来たる死を予感し、聖書を読んで気を静めていた。
諦めず、三人は更に壁を割って隣室に、ところがイギリス兵が壁崩れに埋まってしまい、脚を挟まれ身動き取れなくなる。
ヒロインは一旦は、婚約者の医師と泣く泣くその場を離れ、更なる逃げ場に移動するも

「やっぱり、彼のところに戻るのっ!。」

と、またまたわがままで勝手な行動を(笑)

もはや、私は、このヒロインはあのイギリス兵と爆死だな

と、希望を持ってしまった(笑)


まさか、ベンヤミン・サドラー演じる医師の方が死ぬんじゃ、という嫌な予感も、彼は生きていて一人、瓦礫の街と化した廃墟を歩いて出番、終わり。

時は現代に。おそらく、ヒロインとイギリス兵パイロット二人の娘か孫娘の設定か、ヒロインの女優が再建された聖母教会からドレスデンの街並みを見つめる姿で今の平和を、平和の大切さを語り映画は終わる。



ドレスデンの街が爆撃される様子はなかなか金がかかってそうで見事。
ヒロインはさておき、この歴史的事実を知る、興味を持つきっかけにはなる傑作。

ドラマ的にはベンヤミン・サドラー演じる医師が、婚約者に裏切られても彼女を追いかけ守り抜こうとする男らしい姿。最後は彼女がそれでも去ってしまった時の男の慟哭が素敵でヒロインとイギリス兵パイロットよりも美味しい役だと思った。
ロンメル」のシュパイデル役も出番が多く美味しい役だったが、端正な俳優だが、結局、日本では売ってくれなかったんすか。という感じです。