戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ
ドイツは第一次世界大戦の敗戦でヴェルサイユ条約により海軍の制限を受け、艦のほとんどをイギリス海軍の拠点スカパ・フローにて自沈処分することとなった。
わずかに沿岸警備程度の旧式の艦の保有は許されたが、かつてはイギリスに次ぐ世界第２位を誇った海軍を失ったに等しい処置だった。
しかし、1933年にナチス政権が成立。
ナチスの躍進で1935年に再軍備を宣言。
海軍も1935年に締結された英独海軍協定で、ベルサイユ条約の制限を緩和した。
早速、緩和された制限内での戦艦、ドイッチュラント級を製造。
世界からは制限範囲のミニ戦艦で「ポケット戦艦」と呼ばれた。
次にナチスは、1939年にZ計画（ツェットけいかく）という海軍拡張計画を発案。
ナチスといえばUボートによる通商破壊だが、他にもカモフラージュ効果のある偽装商船を多数建造した。
そしてドイッチュラント級から更に大型のシャルンホルスト級の戦艦も二隻製造。
この2人の名前をベルサイユ条約の制限を受けない大型戦艦に使用。
皇帝ナポレオンの占領からの打破から躍進を遂げた始祖にリスペクトとアイコンの意を込めたのだろうか。
戦艦シャルンホルストとグナイゼナウが最も活躍したのが1940年の４月９日から６月１０日に行われたノルウェー侵攻。
ヴェーザー演習作戦とも呼ばれている。結果ノルウェーはナチスに占領された。
特に激戦となったのは、ナチスの山岳猟兵の部隊が北緯68度25分にある北極圏の都市ナルヴィクを無血占領したナルヴィクの戦い。
後にイギリスと熾烈な攻防戦となった。
ナルヴィクという港町は北極圏でも暖流の影響で不凍港で更に近くのスウェーデン領キルナという町で鉄鉱石が取れ、不凍港ナルヴィクから本国ドイツに資源を運べる要所だった。
鉄鉱石はUボート、戦車を造るのに必要な資源だそうだ。
そんな要所のナルヴィクをナチスとイギリスで取って取り返して、また取り返す、攻防戦が繰り広げられた。
日本もソロモン諸島のガダルカナル島奪回作戦やりましたな。
飛行場つくって完成した途端にアメリカ海兵隊に取られ、日本の場合、取られたら、もはや取り返せませんでした(泣)。
日本も一木支隊に川口支隊という島占領の特殊部隊が派遣されたが、ナチスもエデュアルト・ディートル少将が率いる山岳猟兵という連隊が派遣され、まず無血占領するが、ソッコーでイギリス海軍が牽制かけに来た。
イギリスもナルヴィクの不凍港の重要性をわかっていて常にナチスの侵略をマークしていたのだ。
用意万全のイギリス海軍にナチスの駆逐艦の輸送船団は全滅させられる。
補給や援軍が途絶え、エデュアルト・ディートル少将率いる山岳猟兵の連体は孤立した。
ガダルカナル島もソロモン沖海戦で輸送船団の殲滅ありましたな。鼠輸送とか東京エキスプレスとかバカにされながら殲滅喰らいました(泣)。
しかし、ナチスの方は1940年６月にフランスにも侵攻を開始するとイギリスは連合国としてノルウェーにかまっていられなくなり、ナルヴィクを諦めむしろ、自分たちが撤退する作戦を開始する。
ダンケルク撤退作戦のが重要になったわけだ。
その時ナチスがとったのがユーノー作戦でそこで戦艦シャルンホルストとグナイゼナウが活躍する。
1940年6月8日にノルウェー沖で撤退中のイギリス護衛空母グローリアスがナチスの戦艦シャルンホルストに約24.2kmの距離から砲弾を命中させられ撃沈した。
戦艦の艦砲射撃による最長の命中記録だとか。
ノルウェー沖海戦という。
そしてナチスはパリ占領。
1940年６月22日にはフランスの首相フィリップ・ペタンと独仏休戦協定を締結。
フランスは占領下とヴィシー政権と二分された。
天国のシャルンホルストとグナイゼナウはこの時、自分の名前の艦でフランスを二分したきっかけをつくったのをどう思ったのか？なんて、ちょっと考えてしまった。
あの時ナポレオンが今のドイツをライン同盟と二分したように。
後、戦局は逆転しつつあり、1942年12月31日のバレンツ海海戦では戦艦による通商破壊が出来ず、この戦果の無い敗戦により戦艦シャルンホルストとグナイゼナウはヒトラーにより大型艦廃艦命令を下された。
解体した材料でUボートを量産した方が通商破壊に効率が良いと考えられたのだ。
更に戦局が暗転した1943年12月26日の北岬沖海戦。
イギリスの戦艦デューク・オブ・ヨークとイギリスの重巡ノーフォークの魚雷攻撃より戦艦シャルンホルストは撃沈した。
まるでナポレオンのように
打倒ナポレオン（欧州全土の征服者）の意志でそして達成したシャルンホルストの名前の艦が、ワーテルローのナポレオンのように破滅に向かっていったのだ。
ヒトラーはナポレオンと同じ誤りで1941年６月22日、独ソ戦も勃発させ、1945年５月７日には赤軍にベルリンを陥落させられた。
