民政局(GS)と参謀二部(G2)

 

 

戦後6年8ヶ月に及ぶ占領期。
この間、統治した連合国軍最高司令官総司令部ことGHQの内部組織にも二大派閥があった。


⚫民政局(GS)チャールズ・ルイス・ケーディス、コートニー・ホイットニー



⚫参謀二部(G2)チャールズ・ウィロビー

 

渡辺謙吉田茂を演じた「負けて、勝つ」というNHKのドラマに詳しく描かれていたが、ドイツ生まれのドイツ系アメリカ人、チャールズ・ウィロビーがワーグナーの「ワルキューレ」を大音量で聴いて悦に入っている司令室に吉田茂白洲次郎が会いに来るという場面があった。
ドイツ関係で軍国主義といったらワルキューレ、というベタな演出(^^;て、このドラマのウィロビーの登場の仕方は終始、怪しげなナチスとも思わすクールで陰謀めいた印象だった。
実際、ウィロビーは陰謀を仕組む。
ドイツ系らしくSS隊顔負けのアカ狩りをやった。

河辺機関という、河辺虎四郎らを使った反共工作、汚職やアカの理由をつけては検挙する、レッドパージだ。

ちなみにこの「負けて、勝つ」では近衛文麿野村萬斎が演じているが近衛文麿にしては上背ないし細すぎるが公卿の繊細な雰囲気はよく醸し出していた。
まあ、戦後の頽廃的なだけの近衛文麿を演じるのだからそれでいいか。
文麿自身が恐れていた戦犯に指名され体を壊し病の中、渡辺謙演じる吉田茂と最後の会話をする場面がある。
そして翌日、近衛文麿の青酸カリ自殺の知らせ。
吉田茂
「俺が殺したようなもんだ。」
と、沈鬱な表情で語るが、実際はどうだったんだか?(^^;

 

近衛文麿と言えばコミュニスト
吉田茂と言えば親英米

 

この派閥抗争
⚫GSがルーズベルト前大統領のニューディール政策の流れをくむ社会主義
⚫G2がアンチコミュニスト、アンチ社会主義


GSの方は社会主義系の民主党議員、芦田均を民政局のケーディスが総理大臣にする画策の場面がある。

 

しかし、ようやくアメリカがソ連コミュニストの恐ろしさに気付き社会主義的な考えに敏感になり始める。
既に朝鮮半島の国境問題、アメリカが支持する大韓民国ソ連の傀儡の北朝鮮朝鮮戦争が始まっていて、北朝鮮への援軍として中国から人民義勇兵を大量に出してきた。

中国は、ソ連は、この戦争を本気でやる気がある…

 

おかげでマッカーサー朝鮮戦争処理のため、国連軍最高司令官として佐世保港から自ら仁川に上陸した。

マッカーサーのほぼ独断専行と言われる仁川上陸作戦ことクロマイト作戦は成功し、一時は人民義勇兵の援軍で朝鮮半島全土を占領した北朝鮮軍の補給を遮断し北緯38度線まで追い返した。

しかし、マッカーサーはこの時、人民義勇兵の侵攻阻止で満州に原爆を投下しようとした。

もちろん、トルーマン大統領にソ連の参戦、すなわち第三次世界大戦勃発を怪訝され、拒絶された。
あまりに独断専行で危険過ぎるマッカーサートルーマン大統領はマッカーサーの国連軍最高司令官を罷免。

マッカーサーの政治生命はこれで終了する。


後、マッカーサーは野心を持っていた大統領の座を部下のアイゼンハワーにもってかれたが、原爆投下未遂の仁川上陸作戦よりは、ナチスの占領からフランスを奪回したノルマンディー上陸作戦のが確かに印象は良いな。

 

 

「負けて、勝つ」のウィロビーはドイツ系らしいナチスのような人物になっているが、実際はナチス風の逆ナチスと言うのか、ここでアメリカがようやく日本が防共の砦となる、と理解する仕組みになっている。


もし、ルーズベルト大統領が戦後もずっと生きていたらアメリカはどのタイミングで共産主義の台頭、すなわち冷戦構造に気付いたんだろうか?
ヤルタ密約も守られ北海道も半分、ソ連に占領されたのだろうか?

朝鮮戦争だけじゃなく、北海道の国境問題、北海道戦争なんてあったのかな?