スバス・チャンドラ・ボースの死

最近、1982年のアカデミー賞を総ナメした映画「ガンジー」を鑑賞した。

 

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  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: エレクトロニクス
 

 


主役のマハトマ・ガンジー役をベン・キングズレーが青年時代から78歳で暗殺迄を演じたが、老化がリアルで見事だった。
ベン・キングズレーはこのガンジー役でアカデミー最優秀主演男優賞を受賞したが納得。


マハトマ・ガンジーの非暴力不服従は、まるでキリストの

 

「右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」

 

これは聖書の「マタイによる福音書 5章38ー42節」にある、お言葉で、大変綺麗事で心が洗われるんだが、これと同じ位の綺麗事で現実はインド独立の時、イスラム教地区(パキスタン)と領土問題で内紛を起こし、インドとは別にパキスタンとして独立し、果ては両国共、核保有国と発展。

 

第二次世界大戦の時、ガンジーは時間あったろにイスラム教との融和、上手な独立の仕方を考慮出来なかったのは、崇高な仙人でしかないかな。

 

逆にスバス・チャンドラ・ボースは巧く立ち回った。
第二次世界大戦が勃発し、ナチスがイギリスを攻めた時、日本の仏印進駐みたいにするべくドイツに行きヒトラーにインドの独立援護を懇願した。

しかし、人種差別主義者のヒトラーはイギリスを敵にしたのに
「インドはイギリス領が相応しい」
と、訳の分からない差別主義思想を優先し、チャンドラ・ボースの懇願をうやむやに退けた。

 

次にボースは仕方なくマレー、ビルマに侵攻した日本を頼る。

日本も大戦初期の1942年4月はまだ絶好調でセイロン沖海戦でイギリスの東洋艦隊をインド洋から追い出しに成功。
スエズ運河まで、あと少しのところで、ナゼか自らインド洋から撤退し、山本五十六の、海軍の希望である太平洋方面へ侵略に向かってしまった。

せっかくリアリストの指導者、チャンドラ・ボースが暗躍したというのにヒトラーの計算して損でも白人の生理、人種差別主義に、切腹する国、日本人のマゾヒズムに、チャンドラ・ボースは翻弄されただけに終わった。


最後は日本に頼ったおかげで日本人的マゾヒズムインパール作戦に付き合わされた(泣)。

 

チャンドラ・ボース終戦直後に日本の陸軍の軍用機で台湾から次なる支援国、ソ連に渡り、独立運動を頼ろうとしたが、その時に軍用機が離陸直後に突然墜落する謎の事故で亡くなっている。
一応、ソ連側からはチャンドラ・ボースを受け入れる返書があったらしい。
しかし、日本にしてみれば自国が敗戦したのに、援助してやったインドの指導者が対日参戦してきたソ連に亡命とは、確証は無いが日本の軍部の暗殺が考えられるな。

日本のF機関から大規模な光機関に発展した特務機関はインド独立の大義名分でインド国民を陽動する暗躍をやっていたが、その連中なら、暗殺工作も平気でやる、得意分野だろうと。


チャンドラ・ボースみたいな現実主義的な指導者がいて、ヒトラーか日本のどちらかでも気が利いた国なら、第二次世界大戦の時にスマートにインドは独立出来たような。
結局、イスラム教とヒンズー教の対立を生み、キリストのような綺麗事だけのガンジーは暗殺され、清廉潔白な傑物いたね、で終わって、インドとパキスタンの戦争は続いた。


インド独立をもスマートに仕立て損ねた、インドとパキスタンの戦争も日本の海軍のせい、ということか。

そしてチャンドラ・ボースの事故死もまた、本国インドでは、実は生きていた。と、ミステリーになっているそうだ。

ちなみにチャンドラ・ボースガンジーより本国のインド人には人気が高いそうで、やはり綺麗事より現実的に頑張った人の方が当事者には支持されるのだろうな。

分かります、それ(笑)。