飛龍だけのミッドウェー海戦

ミッドウェー島攻略作戦(MI作戦)

 

南雲忠一中将率いる南雲機動部隊こと第一航空艦隊の空母 赤城、加賀、蒼龍、飛龍が1942年5月27日、海軍記念日に広島湾の柱島泊地から出発。

 

ミッドウェー島付近まで到着したところで空母飛龍所属の友永丈市を飛行隊長とする

 

九七式艦上攻撃機、36機
九九式艦上爆撃機、36機
零式艦上戦闘機零戦)、36機

 

の合計108機が、ミッドウェー島を空襲する為、それぞれの空母から発進。

 

1ヶ月半前にあった4月18日のドーリットル空襲のリベンジ、いや、結果論、挑発された奇襲になった。


本来は真珠湾奇襲攻撃と同じく淵田美津雄が総指揮官となるはずだったが、淵田は虫垂炎の手術を行ったばかりで出撃できなかった。


暗号解読で事前察知していたアメリカは既に待ち構えており、ミッドウェー島の航空機を日本の空母に向けて発進し島内は空、真珠湾奇襲攻撃と違い、態勢が整っていたアメリカ側は日本の空襲を撃退した。
それを成果が足りなく感じた友永は


「第二次攻撃の要あり」


と、南雲の司令部に電報を打つ。
ここで、真珠湾奇襲攻撃の経験者、淵田美津雄だったら友永より、もっと上手く先を読めたか?
とも、思ったりするな。

 


空母同士の戦いは、ミッドウェー海戦の1ヶ月前の珊瑚海海戦が世界初。

ミッドウェー海戦は世界的にも二番目の空母同士の戦いだそうだ。

空母戦の場合、動く航空基地で、動く、意味とは敵に奇襲をかけられることであり、よって、先に発見したが勝ち。


逆に言えば絶対に、敵に存在を知られてはならない怖さがある。


しかし、山本五十六の考えは希望的観測だけで、敵の空母はハワイ基地にいる。と決めて暗号解読はしない。索敵はおおざっぱ。図上演習は改ざん隠蔽。

 

現実は敵空母はミッドウェー島の近くで待ち伏せていた。


友永の電報で魚雷から爆弾に兵装転換していた数十分後に味方索敵機から


「敵、空母、発見。」


ここで南雲忠一は敵の空母が近くに存在する

現実

を、ようやく

認識

した。

 

更に

南雲忠一は、そこでまた

爆弾→魚雷

に、兵装転換を命じた。


バカだ。


兵装転換がスイッチ一つなら、それで良いが、90分位かかる、大変な力仕事なのだ。

 

山口多聞南雲忠一
「現装備のまま、攻撃すべき」
と、電報を打ったが却下された。

 

この時、ジョン・サッチ飛行士がグラマン社のF4Fワイルドキャット戦闘機でゼロ戦撃退のドッグファイト、いや


サッチウィーブ


なる、絡み方をしてきた。


サッチウィーブとはゼロ戦一機に対し二機でS字に交互に絡み、一機に気をとられたゼロ戦に、もう一機が後ろに付き、撃退


ドルだな(笑)


それだけゼロ戦は世界的に優れた戦闘機だと恐れられていた。
合理的なアメリカ人は研究し、このミッドウェー海戦でジョン・サッチ考案のサッチウィーブを初採用した。


初めて実戦したサッチウィーブに、ゼロ戦は混乱し、アメリカのドーントレス急降下爆撃機を通過させてしまった。


そして


空母三隻
加賀
蒼龍
赤城
が一気に大破した。


残った空母飛龍の山口多聞

 


「これより、ワレ航空戦の指揮を取る。」

 


と、宣言。
飛龍だけは、万が一の敵の襲来に備え、少し距離を置いていた為、助かっていた。

 

山口多聞の指揮下、友永丈市飛行隊長は

 

友永雷撃隊

 

と、艦上攻撃の魚雷を兵装した九七艦攻、他、10数機で空母ヨークタウンに向かった。


空母ヨークタウンからは先にサッチウィーブで翻弄してきたジョン・サッチのグラマンF4Fワイルドキャット戦闘機らが出撃。

 

サッチのグラマンからの機銃弾が友永の九七艦攻に命中。
両翼が炎に包まれた中、友永機は空母ヨークタウンの数メートル手前で墜落。
友永機の投下した魚雷も実は当たらなかった、とも言われている。

 

しかし、他の雷撃隊の魚雷が三発、ヨークタウンに命中し、今度こそ大破した。

 

だが、アメリカの見事なダメージコントロールで応急措置をし、更にそこから残りの航空機を発艦した。

 

 

その時の航空機が飛龍を大破し、飛龍も撃沈に至る。

 

 

ヨークタウンを珊瑚海海戦で撃沈してれば

 

真珠湾奇襲攻撃の時にドッグも破壊しとけば

 

友永ではなく淵田が隊長だったら

 

空母赤城の南雲忠一軽巡洋艦、長良に移動し、生きたが、空母飛龍の山口多聞と艦長の加来止男は飛龍と運命を共にした。

 


しかし

 


日本は当時、世界最新鋭の酸素魚雷を持っており潜水艦、伊号第百六十八が復讐に入る。


酸素魚雷とは雷跡が出ず敵に察知されない上に推進力に優れた圧縮酸素を使用した世界唯一のもので、速力40ノット、射程距離4,000メートル、炸薬量500キロで当たれば莫大な威力を発した。

太平洋戦争では主に九三式酸素魚雷と潜水艦用の九五式酸素魚雷が実用された。


1971年に放送された太平洋戦争のアニメ「決断」の中に、この潜水艦、伊-168の話がある。

 

 


このアニメで伊-168の田辺弥八艦長が言うセリフ

 

駆逐艦の音をたどっていけば良い。」

 

空母ヨークタウンは大破しスクリューを回してない為、音を察知することが出来ない。
しかし、修理の為に横付けしている駆逐艦ハムマンの音をたどっていけば発見できる、と。

 

駆逐艦ハムマンの走行音を察知した伊-168は九五式酸素魚雷をハムマンに命中させた。


そして爆雷の誘爆でヨークタウンの水線下の損害が拡大し、翌朝にヨークタウン撃沈に成功する。


田辺弥八 艦長の極限状態における冷静沈着で大胆正確な指揮能力は見事だった。

 


ヨークタウン旗艦のフレッチャー提督はアメリカでは、珊瑚海海戦につぎ、ミッドウェー海戦ではとうとう空母ヨークタウンを撃沈させたダメ提督として認定されているそうだ。


更にフレッチャーの次の仕事、ガダルカナル島の防衛、ソロモン沖では第一次ソロモン沖海戦で味方重巡洋艦を4艦も撃沈され三川軍一の第八艦隊を追撃せず、取り逃がし、第二次ソロモン沖海戦では空母ワスプを伊-19の酸素魚雷で撃沈され

 

慎重過ぎてダメな提督

 

と、アメリカ海軍のトップ、アーネスト・キング大将から判断され、現場から更迭。

 

逆にミッドウェー海戦で空母エンタープライズから指揮したスプルーアンス提督は出世し、今でも太平洋戦争の功績を称えられているそうで、だから、今度の映画「ミッドウェイ」

 

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にはフレッチャー提督は出ないんだな、と(笑)。


しかし、日本側にしたら、第一次ソロモン沖海戦の三川軍一は敵輸送船は撃退せず逃げた、栗田ターンならず、三川ターン、と思う訳で(笑)


空母ヨークタウン撃沈も、また、ミッドウェー海戦のエピソードの一つです、ハイ(笑)。

 

 

 

伊-168の田辺弥八 艦長が主人公の小説があります。

池上司 著「ミッドウェイの刺客」

 

ミッドウェイの刺客 (文春文庫)

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