帰って来なかった方が良かったマッカーサー
マッカーサーはポーズを気にするかなりのナルシストで、レイテ湾に上陸する際、あの膝下まで海水に浸かりながら侵攻する有名な写真、3回も撮り直しさせたらしい。
ナルシストならばプライドも高く衝突も多かったらしく海軍のニミッツ提督はもちろん、ルーズヴェルト大統領、次のトルーマン大統領からも嫌われていたらしい。
具体的にはニミッツより、アメリカ海軍作戦部長キング提督とマッカーサーが仲違いしていた。
このキング提督と台湾から直接、日本本土かフィリピン奪回を含めるかを揉めたらしい。
いや、フィリピンをわざわざ奪回せずとも、戦後フィリピンは独立するんです。
マッカーサーはこの時の癖が朝鮮戦争に出て調子に乗り過ぎて政治生命が終わった。
中国東北部に原爆を50発投下して中国から北朝鮮に援軍する涌き出るような人民義勇軍を阻止しようとした。
もし、それを実現したら時は既に冷戦、ソ連も本格的に参戦するだろうに。
映画「ハンターキラー」でも、ロシア国内のクーデターで監禁されたロシア大統領をわざわざ救いだしアメリカの潜水艦まで救助し、その後その潜水艦が行方不明になってしまった場面であったな。
ゲイリー・オールドマン演じるアメリカ統合参謀本部議長がロシア大統領を救う案を言い出した部下に責任転嫁を言い散らした場面(笑)
「貴様は第三次世界大戦を引き起こしたんだぞ!」
とか、まくし立ててましたな。
いや、ロシア大統領の救助作戦は結局は上司のアメリカ大統領の採決で決まったんだろーが(笑)
山下奉文がジェラルド・バトラー演じる潜水艦の艦長に似ているのは、軍人でありながら、出来るだけ事を最小限に留めようという配慮。
「ハンターキラー」は主役の登場場面で鹿狩り中に射ようとした雄鹿に雌鹿と子鹿が近づき、家族の長を殺す訳にはいかないな、と射るのを止める。
その配慮がこの映画のクライマックス、(この映画の悪役)ロシアの防衛大臣が放ったをミサイルを反撃せず、自爆する姿勢を選んだ。
アメリカ側がこれに応戦したら第三次世界大戦のきっかけとなってしまうからだ。
(しかし、ロシア軍内での仲間割れで助かる、というオチ)
ここに冒頭の雄鹿を射なかった態度が現れる。
山下奉文は当初、マニラをオープンシティにし、司令部をルソン島北部の山岳地帯、バギオに移動し長期持久を考案していた。
オープンシティ=無防備都市。
要するにマニラから軍隊を退去させる。
大都市のマニラで軍備をしいていたら侵攻するアメリカ軍を大都市マニラで応戦しなければならない。
だが、山下のオープンシティの案は却下された。
ルソン島に上陸したアメリカ軍相手にまず第14方面軍は、3つの集団を形成した。
ルソン島北部の「尚武」
クラーク地区の「建武」
そしてマニラ周辺の「振武」
この振武集団に海軍の第31特別根拠地隊が編成されレイテ沖海戦の沈没艦乗員も含まれた。
それが「マニラ海軍防衛隊」、司令官は岩淵三次少将。
こやつが山下のオープンシティ案を拒み、マニラ市街戦を起こした。
振武集団の中でもマニラ市街を担当し、結局、途中で自決する。
おかげで配慮で山岳部に移動した尚武集団の山下に責任がいくことになる。
マッカーサーがフィリピン奪回に拘り、起こした悲劇は計り知れない。
日本は太平洋戦争を植民地解放の大義名分を掲げて侵攻していたから、戦後、ほとんどの植民地が独立することになる。