コナン・ドイル著「豪勇ジェラールの冒険」ジェラールがワーテルローで奮闘した話、読了

 

豪勇ジェラールの冒険

豪勇ジェラールの冒険

 

 

 

ドイツ参謀本部-その栄光と終焉 (祥伝社新書168)

ドイツ参謀本部-その栄光と終焉 (祥伝社新書168)

  • 作者:渡部 昇一
  • 発売日: 2009/07/28
  • メディア: 新書
 

 

ナポレオン一世の部下、エティエンヌ・ジェラールという軽騎兵将校が主人公の全八話の短編集。

第七話「ジェラールがワーテルローで奮闘した話」

だけ読んだ。55ページの短編。

エティエンヌ・ジェラールという実在の人物がナポレオンの部下にいて英語版ウィキペディアもあり、この人物が主人公のモデルかと思いきや
訳者あとがきには
ランヌ、マセナ両元帥のもとで幕僚をつとめ、のち回想録をあらわしたマルボ将軍がモデル」
と書いてある。


?まあ、いいや(笑)


映画「ワーテルロー」はナポレオンの敵をイギリスのウェリントン公にだけ重点を置き、プロイセンブリュッヘル司令官(ドイツ語読みでブリュッヒャーとも表記される)はおまけ程度にしか出さなかった。
参謀長グナイゼナウ
「我が軍は既にワーヴル方面に退却しました。本軍も退却すべきです。」
ブリュッヘルに進言するセリフで出番、1分のみ。
ぼんやりしてたら見逃す…


この短編はワーテルローの戦いにおける敵プロイセン軍の援軍の話で、コナン・ドイルはイギリス人だが、プロイセン軍の方が重要だったのを書いてくれたのですね。


内容
ナポレオンがイギリス軍の戦線を望遠鏡で見ていたら、なにやら黒い、動く雲の影みたいなものが見え
スールト元帥は
「牛の群れだと思います。」
ナポレオンは
グルーシー元帥だ。」
と、決め付け
主人公のジェラールにグルーシー軍のところに伝令に行くよう命じる。


まあ、短編小説だから、いとも簡単に楽観視するナポレオンだ(笑)。


しかし、主人公ジェラールが馬で駆けつけたところ、それはグルーシー元帥の軍団ではなく敵のプロイセン軍だった。

急いで近くの居酒屋に逃げ込んだ。
幸い居酒屋の主人は親切に受け入れてくれたら、そこにプロイセン軍の司令官ブリュッヘルと参謀長グナイゼナウの一団が入って来た。
裏側に隠れたら、更にそこにイギリス軍の使者が来て
「我が軍が壊滅状態です。急いで援軍を。」

ブリュッヘル司令官は
ウェリントン公との信頼関係だ!。」
と意気込んで援軍に向かった。

残る参謀長グナイゼナウが部下のシュタイン伯爵に
「ナポレオンを一撃で仕留めなければ、無駄な戦いが増える。
君にナポレオンは任せる。」
と、告げブリュッヘルに続き出て行った。

ジェラールは急ぎナポレオンの元に戻るも手遅れ、既に敵の援軍プロイセン軍に攻撃され壊滅。
ジェラールは退却の殿(しんがり)として追撃戦を仕掛けるシュタイン伯爵を引き付けるナポレオンの影武者役になり、囮作戦には成功し、上手く本物のナポレオンを逃がした、という話。

 

 

渡部昇一の「ドイツ参謀本部」も素人向けに分かりやすく端的に書いてるが、シャルンホルストグナイゼナウ

退きつ攻めつの徹底的消耗戦

の退却の名人なのを繰り返し記載している。
持久待機で相手が強く出れば引き、隙を見て攻める。
ナポレオン本隊との正面衝突を避け、分散した攻撃を繰り返す分進合撃という作戦だそうだ。
第六次対仏大同盟の時、ライプツィヒの戦い迄でその作戦でナポレオンに勝った。
ならばナポレオン程の才気ある人物なら、ワーテルローではプロイセン軍が退却の名人なのを経験値で分かってなきゃ、おかしい。


実は映画「ワーテルロー」ではナポレオンは最初から望遠鏡で見えるぼんやり動く集団をプロイセン軍と判断していた。
しかし
「ヤツらはまだ月の上に居るのと同じだ、分かるか?。」
と、部下に余裕ぶっこいて話していた。

渡部昇一のドイツ参謀本部では、ナポレオンは最後の最後迄、プロイセン軍に気付かなかったように書いてある。この短編小説と同じく、望遠鏡で見える動く雲の影みたいな集団は味方のグルーシー元帥の援軍だろう、と勘違いしたと。


ナポレオン程の人物がプロイセン軍の来襲を予測できなかった?

私はそん位の予測は出来た人物だと思いたい。


ただ、リニーの戦いで叩いているから疲労と怪我で戦闘能力が低下したと軽くは見たかな。

グルーシー元帥との連携や忠誠心維持の努力は怠たったな。
グルーシーやる気なさ過ぎ(泣)


フランスってナポレオン以降は第二次世界大戦ド・ゴール将軍迄、歴史的に偉業遂げた軍人いないような。

ナポレオン一世の突出した活躍が、出る杭は打たれる、みたいな前列になったのだろうか?
元帥達は後々、許されても、ナポレオン一世1人が罪を追った悪者になっているが。

 

 

ちなみにプロイセン軍は野球で言うスモールボール、敬遠、牽制、犠牲フライ、犠打、盗塁の名人。
守備力では中日ドラゴンズのアライバ、荒木、井端の連携プレーか。
ワーテルローでは犠打盗塁に山田哲人のホームラン威力が加算され逆転現象。

ワーテルロープロイセン軍ヤクルトスワローズ山田哲人だよ(笑)。
プロ野球でもデータ野球すんのに、皇帝ナポレオン一世程の人物がデータ取らないで鈍感なのは、理解出来ないな(笑)。

 

 

◆これは小説だけど、やはり伝令は一騎じゃなく複数出さねば。複数だったら味方じゃなく敵だと判明した時、更に味方を追いかける役と、本陣に実は敵だったと伝える役とに分散出来た。スールト元帥がグルーシー軍を呼び戻す伝令を一騎しか出さなかった話がネタだな。